りのとんと

創作好きが、全力ですきを語るだけ。

危うい正しさを愛でもって貫くSNS系サスペンスドラマ「Re:フォロワー」

今回はドラマ「Re:フォロワー」について書きたいと思う。

 

簡単に言ってしまえば、SNSを駆使して法で裁けない悪事を暴く話。

けれど、深い。本当に深い。

 

何がって、愛だ。

愛が、めちゃくちゃ深い。しんどい。危うい。

 

 

 

あらすじ

クレシダというSNSのアカウントがある。(明確にどのSNSとは言っていないけれど、Twitterみたいなものだ)

クレシダにはフォロワーからのリプライが集まる。法で裁けない悪事に困っている人たちの声だ。

クレシダはその中から彼らなりの基準で、一つを選ぶ。きちんと裏も取る徹底ぶり。依頼者にコンタクトを取りながら、悪事を暴きフォロワーを増やしていく。

 

一方、雑誌記者の五島昭【ごとうあきら】はクレシダの正体に探りをいれる。

どうやら、彼とクレシダには何かしらの因縁があるらしい。

 

 

率直レビュー・感想

とっても現代

SNSなんて今や生活の一部みたいなものだけれど、それを使って依頼を募集して事件を解決する話は結構少ないんじゃないかと思う。私はペルソナ5くらいしか知らない。

 

私は探偵役と助手が事件を解決する話が好きなので、探偵役が出るミステリーを結構観る。

そういう話はたいてい

①探偵役のところに依頼者がきて事件の相談を受けることにより、事件を解決しようとする。

②探偵役が事件に巻き込まれて、解決せざるを得なくなる。

③助手が事件に巻き込まれたので、探偵役が解決してやる。

 

だが、Re:フォロワーは探偵役があまたの依頼の中から解決したいものを選ぶ。裏まで取る。持ち込まれたものに対して挑むという点は①と変わらないが、選ぶ権利を持っている。

①にしたって依頼がきて引き受けないこともあるじゃないか、という反論はあるだろう。でも最後まで観てみると、①で断ったとしてもたいてい最終的には断った依頼を引き受けることになる。

だから、とても新鮮だった。

 

 

愛が深いからこそ

新鮮だな、と思ったRe:フォロワーだけれど、いたるところに愛があふれている。

人間が誰かを愛するなんて、あたり前だ。愛なんてものは、本当はとても身近ですぐ近くにある。私が生まれる前から、愛なんてやつはそういう存在だ。

 

けれど、気がつくのは難しい。

そしてたぶん、愛を受けいれるのにも勇気がいる。

 

クレシダの中心人物、池永一十三【いけながひとみ】は過去に罪を犯した。しかし「罪を犯した」の一言では片づけられない真相がある。

真相には、愛があった。クレシダが目指している先も、愛が動機となり膨らんだものだ。

一十三には作中で何度も愛が傾けられるのだけれど、何度も振り払う。愛を傾ける方は、諦めない。

 

しんどい! 本当にしんどい!

 

 

危うい正しさ

愛が深いことが、Re:フォロワーのしんどさを加速させているのだが、Re:フォロワーのしんどい要素はもう一つ。

三者からすれば正しいとは断言しづらいが、やっていることは正しい。

 

すなわち、危うい正しさ。

 

法=国家

法で裁けない悪事を暴く=国家に立ち向かう

クレシダがしているのは、こういうことだ。

けれど、たかがSNSのアカウント。ましてや中身は一般人の集まり。

国家権力に立ち向かったところで、もみ消されてしまうだろう。それどころかこの世からもみ消されてしまうかもしれない。

 

クレシダだけではない。五島、雪谷美奈(クレシダに心あたりのある女の子)。彼らもどんどんクレシダに関わっていって、危うい正しさを突っ走る。

観ているこっちとしては、頼むからもうやめてくれ! 死んじゃうよ! とひやひやものなのだが、行動の中には一本の軸が通っているから、何を思っても結局のところはもっとやれと思ってしまう。

 

一本の軸とは何かって?

さっきから言っているあれです。愛です。

 

 

そんなわけで、危うい正しさを愛でもって貫くSNS系サスペンスドラマ「Re:フォロワー」。

現在、Amazonプライムで観られる。

もう、生きるのがしんどいと思ったときには観ることをおすすめする。人間は愛を持っていることを、再確認できる。

エンドロールが終わっても泣きたくなるノンフィクション映画「オンリー・ザ・ブレイブ」

今回は映画「オンリー・ザ・ブレイブ」について書く。

 

実際の事件を元にして作られた、ノンフィクション映画。

周りの映画好きが大絶賛するので、実際に観てみた……!

 

 

 

 

あらすじ

ブレンダン・マクドナウは、薬物中毒の青年です。その日も薬物に浸っていたのだが、急にメールが。恋人が妊娠をした――

これを機に、ブレンダンは真面目に生きることを決意。地元の森林消防団に入隊します。もともと、森林火災に関連する資格を持っていたのだ。

しかし、薬物の影響もあってか体力がない。消防団の過酷な訓練にへとへとになりながらも、彼はどうにかついていこうとする。

 

一方、消防団を指揮するエリック・マーシュは自分の方が実力があるのに、消防団としての実力を発揮する場がないことにやきもきしていた。

精鋭部隊として昇格すべく、ツテを使って市長にとりいる。

 あるとき、いつも通り訓練をしていると電話が。ぶっつけ本番だ、と告げられた内容は、実際の山火事の現場でエリックの部隊の実力を見させてもらい、精鋭部隊としての適性があるかを見させてもらうというものだった。

 

 

観てみて……しんどい!

泣いた。エンドロールが終わっても、ずっと泣いていた。

私が「オンリー・ザ・ブレイブ」を知ったのは、先輩からの勧めだった。

簡単に話を聞いた限りで、薬物中毒の人が人生を変えることができた過程を描くだけなのかと思い込んだ。思い込んだまま、観た。(私は映画を観るときに、心霊系ホラーでないとわかればあらすじを事前に確認したりしないタイプなのだ。邪道)

 

だが、違った。

森林消防団の勇姿を描いた作品だった。

 

森林消防団の仕事

オンリー・ザ・ブレイブ」を見るまで、森林消防団の仕事がどういうものか知らなかった。消防団だから火事に対し、放水することで解決するのかと思った。

だが実際は、あたり一面を燃やしたり、穴を掘ったりすることで、火を逃がしてやる。民家に近づけないようにするのが彼らの仕事だった。本当に安直な言い方になってしまうけれど、過酷な職業だ。

 

それでも彼らが森林消防団として働き続けていたのは町を守るという正義感が一番大きいのだと思うけれど、私はエリックの人柄もあると思う。

 

 

エリックがいい!

エリックは、資格を持っていないだけで本当はかなりのポテンシャルを秘めている人。ちょっと世渡りが下手なのがネックになって昇格試験もあやしくなったりする。

けれど、炎に語りかけたり曲者ぞろいの団員に対して厳しくも愛を持って接していたり。とっても温かみがあって、彼なりの正しさというものが一つしっかりと通っている。

面接をしにきたブレンダンに対しても、しっかりと内面を見ていた。前科者であるとか、もともと薬物中毒者だったこととか、保護観察中だとか、そういう肩書きは全部取っ払って。

 

肩書きってやつは、くもりガラスみたいなものだ。その人の人間性を決めつけるものではないのに、人は肩書きを見て相手をよく知る前にだいたいの検討をつける。

くもりガラスを取っ払って他人と向き合える人というのは、そうそういない。

 

とはいえ「オンリー・ザ・ブレイブ」では、エリックの事情も描かれるので、ただのすごい人で終わらないところがよい。

 

 

最後まで観ると、生きようと思える。

先にも書いたとおり薬物中毒者が人生をやり直すだけの話だと思っていたし事件の内容を調べるなんてことも当然していないので、結末に涙腺が耐えられなかった。実話であるという事実がさらにこの映画をしんどくさせている。

 

消防団の勇敢さに心を打たれ、人との関わりと命の大切さを教えてくれる映画「オンリー・ザ・ブレイブ」。

すっっっっごくよかった。ぜひ、全世界に観てもらいたい。